※この記事はBronson LTインストール後約4ヶ月強テストライドを済ませてから書いています

今回紹介する商品

昨日玄関のドアの隙間にCanada Postから私宛の荷物があるから、クリークサイドの支店まで取りに来いという一枚の紙が挟まっていたので早速取りに行ったのだが、どうやら早すぎたようでまだ用意できていないと言われた….

確かに紙に明日以降に取りに来てと書いてあったのでよく読んでいなかった私が悪いです^^;

そして今日早速受け取ってきました!

因みにわざわざ支店まで取りに行く必要が有るのは大抵関税の支払いがある場合です。

関税は日本円にして約5000円くらい取られました….高い…

日本みたいに玄関先で支払う事ができれば楽なんですが、カナダはそんなに親切じゃありません(笑)

今回購入したのはCascade Componentsが販売しているBronson LT link

私は無難にブラックを購入しましたが、Bronson LTリンクはブラック以外にもレッドとシルバーから選ぶことが出来ます。

ブラックは無難すぎるので、見た目ですぐBronson LTリンクを使っていると分かるシルバーでも良かったかな?なんて思ったり思わなかったり。

確か初期ロットではブルーとゴールドの選択肢もあったのですが、人気が無かったのか現在は購入できません。

実はずっと前からこのカスタムリンクの存在は知っていたのですが、結構高いのでなかなか手が出せずにいました。

そんな中、久しぶりにCascade Componentsのサイトを開いてみるとなんとSanta Cruzのリンクがもうすぐ値上げされるという事だったので慌てて購入

想定していた以上に材料費が掛かるので値上げするとの事でした

 

Cascade Componentsってどんな会社?

Cascade Componentsはアメリカのワシントン州エベレットにある小さな会社です。

2019年2月、彼自身のSantaCruz Nomadのリア三角が壊れて乗れなくなった事をきっかけにバイクに乗れない間、Nomadのリンクの移動、車軸に関する一連の方程式を作ると、Nomadにはコイルショックが向いていない事が判明し、改良リンクの作成に取り掛かる。

2019年6月、数ヶ月のテストを終え、純正よりもパフォーマンスを改善したカスタムリンクNomad LTリンクの発売を開始

私が初めてこの会社の事を知った時は、まだSanta Cruzのカスタムリンクしか制作していませんでしたが、10月31日現在Santa Cruz以外にもEvil・Kona・Specializd・Transition・Trek・Yetiなど少しずつラインナップが増えてきています!

またつい最近、イギリスにも進出したそうです!

Cascade Componentsの公式サイト

アメリカ・グローバル → cascadecomponents.bike

イギリス → cascadecomponents.co.uk

 

Bronson LT リンクの仕様

※目次になっています↓

よりプログレッシブなリンク設計によりボトム抵抗の増加、初期ストロークの改善

+5mmのチェーンステイ長、-2.5mmのBBハイト

密閉型Enduro Maxベアリング (純正リンクと同じサイズのベアリング)

210mm×55mm(純正)のショックで160mmのトラベル (純正はリア150mmトラベル)

8mm×30mmのアイレット間隔 (純正リンクと同じ)

ショッククリアランスの増加 (ただし、注意が必要)

重量は実測値で311g

・6061-T6アルミニウム

 

V3 Bronson LT リンクの詳細

はじめに

Bronsonのリンク設計は特にプログレッシブではないので、アグレッシブなトレイルを走っていると、いとも簡単にボトムアウトします。

初期の工場出荷状態で、リアショックの中に既に最大のボリュームスペーサーが取り付けられている事から、SantaCruzもこの問題を把握していると思われます。

ある程度体重があるライダーであれば、ショックのエア圧を上げることでボトムアウト抵抗を増やすことができるかもしれませんが、私のように体重が軽いライダーは特に、エア圧を上げれないので十分なボトムアウト抵抗を得ることが出来ず、常にボトムアウトしてしまいます。

この問題は前回RockShox MegNegをインストールしたことにより、少し改善されましたが、リンクの設計は変わっていないので根本的に改善されたわけではありません。

よりプログレッシブに

Cascade Componentsのカスタムリンクは、Bronsonをよりプログレッシブなリンクに改良し、下りの性能を上げ、尚且Bronsonの持つペダリング特性も維持します。

具体的にはボトムアウト抵抗を増加させ、初期の動きが良くなるので小さなバンプをスムーズに吸収してくれるようになります。

その結果、起伏の多い地形でトラクションが大幅に向上するのでより安定した走りができるようになります。

このレバレッジレシオの表を見て分かる通り、純正のリンクとカスタムリンクとでは大きな差があります。

特にStock Link 1(2019年モデルの純正リンク)ではストロークの最後に上に向かっていて、これはボトムアウトしやすい事を意味します。

SantaCruzはこの問題を2020年モデルで改良したので、Stock Link 2の緑の線はストロークの最後に上に向かっていません。

それでもカスタムリンクと比べると、カスタムリンクの方がプログレッシブなデザインになっている事が分かります。

SantaCruzは、よりボトムアウトしやすくなってしまうため、Bronsonにコイルショックを取り付けることを勧めていませんが、このカスタムリンクを使い、プログレッシブなリンクになることで、コイルショックをインストールしてもボトムアウトしずらくなります。

ジオメトリの違い

またジオメトリに関してはこのカスタムリンクをインストールすることで、BBの高さが純正のLOWセッティングより更に2.5mm下がり、重心が低くなることでコーナリングもより安定して曲がれるようになります。

BBの高さだけでなく、チェーンステイ長も純正より5mm伸びることで、登りではフロントが上がってウィリー状態になりにくく、下りでは長くなったホイールベースにより、より安定します

純正のリンクとカスタムリンク外観の違いです。

二枚目の写真で手前側にカスタムリンク、奥に純正リンクを置いてネジ穴などの違いを比較してみましたが写真では分かりにくいですね….

密閉型ベアリング

写真をみてすぐに分かる違いと言えば、ベアリングでしょうか。

純正のリンクはグリスポートがあるので密閉されていないタイプのベアリングが使用されていますが、カスタムリンクではグリスポートが無い代わりに、密閉式のEnduro Maxベアリングが採用されています。

純正の密閉されていないタイプのベアリングは簡単に水が入って錆びてしまうので、私は密閉型ベアリングの方が嬉しいです。

因みにサイズは同じなので引き続き、SantaCruzのベアリング保証の恩恵を受けることが出来ます。

トラベル量の増加

またカスタムリンクを使うことにより、リアのトラベルが150mmから160mmになるので170mmのフォークとよりバランスが取れるようになります。

トラベルが増えることでリア周りのタイヤとフレームのクリアランスにどれだけ余裕があるのか気になっていましたが、実際のところ全く問題はありませんでした。

サドルとリアタイヤのクリアランスを写真に収め忘れていますが、こちらも問題ありませんでした。

リアショックのハードウェアですが、カスタムリンクも純正のリンクと同じ8mm×30mmのアイレット間隔で作られているので、何も変えることなくそのまま取り付ける事が出来ます。

ショッククリアランスの増加

またカスタムリンクはショックのクリアランスを増加させるため、スペースの問題で取り付けることが出来なかったFox Float X2など直径の大きなショックを取り付けることができるようになります。

Cascade Componentsによると次のショックを取り付けることが可能とのことです

RockShox Super Deluxe Coil / Super Deluxe Air

Fox DHX2 / Float X2 / DPX2

Ohlins TTX22 Coil / TTX Air

Cane Creek DB Coil / DB Air CS

ただし私が独自に入手した情報によると2021年モデルのFox Float x2、及び一部のスプリングレートが高いEXTスプリングはフレームに接触するため取り付けることが出来ません。

また、ショッククリアランスはフレームのサイズによって変わってくる可能性もあるのでリアショックの交換を考えている人は慎重に自己責任で行う必要があります。

私も何度かFloat X2をインストールすることも考えましたが、Super Deluxe AirにMegNegをつけることで今は満足しています。

重量差

また重量についてはCascade Componentsの公式サイトには何も書かれていませんが、私が計測したところ、純正のリンクが291g、カスタムリンクが311gとカスタムリンクの方が僅かに重いという結果になりました。

 

Bronson LTリンクのインストール

カスタムリンクをインストールする方法は特に難しくもないのでここでは割愛させていただきます。

カスタムリンクにはベアリングスペーサーは付属していないので、純正のリンクに付いているものを使ってインストールします。

ベアリングのサイズは全く同じなので問題なくインストールできるはずです。

が、実は私の個体にはフィッティングに少々問題がありました。

Cascade Componentsにその問題を報告したところ、このフィッティングに関する問題は私が初めてとの事。

私も実際に色々と検証を行い、Nomad以外のSantaCruzの全てのリンクにおいてこの問題が起きる可能性があることを報告。

彼らも実際にこの問題が起きるか再現したところ、まれにこの問題が発生することを確認。

本当にちょっとした事だったのですぐに修正されたようで、私も後日この問題を修正したものを受け取りました。

 

Bronson LT リンク実際に使ってみてどう?

Bronson LT リンクをインストールしてから既に4ヶ月以上実際にカナダ・BC州のトレイルでテクニカルなトレイルからフローなトレイル、大きなドロップなど様々な種類のトレイルを走っていますがこのカスタムリンクは本当にいい仕事をしてくれています。

Cascade Componentsのテストライダーが

「リアタイヤの地面への追従性の高さには驚かされました。思わず笑ってしまいました

とコメントしていますが、まさにその通りで純正とは比べ物にならないほど良くなっています。

それでいてBronsonが持つクライミング性能も失われていないので登りも今まで通り登ることができます。

このカスタムリンクを使うとジオメトリも少し変わるので、私はその点において少し心配していたのですが、実際はより安定したラインデングができるようになりました。

しいてデメリットを言うとしたら、マニュアルが少しやりにくくなった気がしますが、山の中でマニュアルなんてそうそうしないので大きな問題ではありません(笑)

 

まとめ

最後にSantaCruzの生涯保証についても少し触れておきますが、Cascade ComponentsがSantaCruzに問い合わせたところ影響しないとのことなので安心して使うことが出来ます。

Cascade Componentsのカスタムリンクは純正のリンクと比べると約3倍以上の価格なのでどうしても高く感じてしまいますが、もしBronsonをよりプログレッシブにしたいと考えているならBronson LTリンクはBronsonを別のバイクに変えてしまうくらい大きな変化をもたらしてくれるとてもいい選択肢となるでしょう!